和食創生に貢献した三河の醸造品
17世紀後半、西三河や知多半島の酒が江戸で飲まれるようになりました。酒づくりの先進地、上方の技術を取り入れて、それに次ぐ地位を得たのです。三河の酒は辛口で「鬼ころし」といわれ、半田や亀崎など、輸送に便利な場所に酒蔵が増えて江戸へ盛んに出荷されました。酒づくりで培った醸造技術を生かし、作られたのはみりんや酢。原料の調達、販売方法などにも酒づくりの経験が活かされました。19世紀初めに半田でつくり始めた酢は、酒粕が原料で、酒づくりが盛んな地域ならではの醸造品。みりんは当初、甘口の飲み物として親しまれていましたが、次第に料理に使われるようになりました。豆味噌は江戸時代のレシピにもよく登場し、みりんは蕎麦つゆや鰻の蒲焼、煮物などに使われました。甘味・旨味に富む粕酢は、江戸で流行りだした早寿司に良く合い、一気に生産量が増えました。尾張や三河の醸造品が、江戸時代に創生「和食」を支えたのです。
味噌 ~色と味の濃さは、高い栄養価の証~
丸々と粒のそろった大豆からつくられる豆味噌は、一千年以上といわれる味噌の歴史で最も古いとされ、原料に米や麦を使わず、蒸した大豆の赤褐色が長い熟成期間を経て色濃くなるので「赤味噌」とも呼ばれます。
現代もみそカツ、どて煮、味噌煮込みうどんなど、愛知県のご当地メニューは味噌料理が圧倒的でいまも昔も豆味噌は愛知の食文化の中心にあります。近年は大豆製品として栄養価が評価され、健康食品として国内外で注目されています。
酒 ~受け継がれた気骨と銘酒に心酔~
矢作川の清流と肥沃な土壌で育った良い米から美味しい酒が古くからつくられていました。三河の酒はアルコール度数が高く、「鬼をも酔わす」と「鬼ころし」の愛称で親しまれました。灘の「男酒」と人気を二分するほど、一世を風靡したと伝わります。
現在も気候風土に恵まれたこの地方には醸造技術を磨いて品質向上にたゆまぬ努力を重ねる杜氏や酒蔵が残り、丹精込めてつくられた「旨口の酒」はいまもなお、日本中の人々の心を酔わせています。
みりん ~蜜のような甘みと黄金色の輝き~
本みりんの甘味の主成分はブドウ糖。砂糖の甘さに比べると丸く上品で、コクのある旨味が素材に良くしみこみ、深い味わいの甘みをつけます。また、照りや艶や、焼き色を付け、アルコール成分が生臭さを消し、煮崩れを防ぐなど、さまざまな調理効果で料理を驚くほど美味しく仕上げます。
本みりんの醸造所は日本にわずか数件となりましたが、原料に米焼酎と粕取り焼酎を混合した香りの強さを特徴とする「三河みりん」は存続し、現在もその伝統を守り抜いています。
醤油 ~旨味のしずくは大豆のおかげ~
たまり醤油は「豆味噌」を作る過程で滲み出た液体が始まりと言われ、とろみと濃厚な旨味とコクがあり、豆味噌同様、郷土の味には欠かせない調味料。普通の醬油は大豆と小麦の量は半々ですが、たまり醤油は大豆がほとんど。蒸し大豆に炒った小麦を混合して種麹を付けた「溜まり麹」に、塩水を加えてもろみをつくります。できたもろみを長時間発酵・熟成させた後に搾ったものがたまり醤油で、刺身や鮨につけるほか、照り焼き、佃煮、煎餅などにも使われています。
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