歴史ある西尾市には、伝統的な食文化も多く受け継がれています。
今回は「醸造」をキーワードに、後世に語り継がれる伝統味をご紹介。
西尾市吉良町で豆味噌を製造している今井醸造。
3代目の今井大輔さんは、人気店「ぞうめし屋」のオーナーでもあります。
代々家族で守り続けた今井醸造の歴史に、新たな1ページを刻んだ今井さんにお話を伺いました。
発信してこそ、自慢の味噌が生きる
今井醸造の豆味噌は、もろみから沁み出す「たまり」を抜かずに作られています。
「たまりにこそうまみが凝縮しているんです。工程の中で一旦は抜きますが、それをまた味噌にかけながら仕上げていきます」
祖父が作り始めた味噌のおいしさには自信がありました。しかし、なかなか日の目を見ないもどかしさを感じていた今井さん。
自慢の味噌をもっと発信しなければ。その思いで始めたのが移動販売車「ぞうめし屋」でした。
「味噌を生かしたおいしい料理を提供した方が、味噌単体で扱うよりも広がりが大きいと思ったんです。自宅のキッチンで試作して生まれた肉みそご飯をメニューにして、イベントに出店するようになりました」
自らの動き方を大きく変えた今井さんは、どんなことがあっても前進し続けました。
ぞうめし屋を支える味噌蔵への想い
移動販売車を始めて3年後には、西尾に実店舗「ぞうめし屋」がオープンしました。
味噌と身近な食材がコラボした豊富なメニューを楽しむことができます。
「店舗は、移動販売車とはまた違った表現ができる場ですね。今井醸造の味噌も置いていて、アンテナショップの役割も果たしています」
2店舗目となる「喫茶ゾウメシ」も開店し、3つのぞうめし屋の運営に手腕を発揮している今井さん。
今後の目標を訪ねると、答えは少し意外な方向にありました。
「僕の原点である味噌蔵にもう一度戻り、味噌作りに専念したいです」
味噌への想いあふれる発信力が、西尾に元気を呼び込んでいます。
今井さんが選ぶおススメの逸品
今井醸造の豆味噌は、加熱殺菌をしない生みそです。
菌が生きているため、購入後も発酵が続きます。
おいしさを一番に追求し、本当に必要な工程だけで大切に作られています。
一度聞いたら忘れられない「ぞうめし屋」という店名。なんと、当時3歳くらいだった今井さんの息子さんが考えたものだとか。
そこからイメージを膨らませ、今のロゴマークが生まれたそうです。