歴史ある西尾市には、伝統的な食文化も多く受け継がれています。
今回は「醸造」をキーワードに、後世に語り継がれる伝統味をご紹介。


第4回
みりんが切り開く未来

相生ユニビオ株式会社 高橋克彦

 明治5年に相生みりんを作り始めた相生ユニビオは、優れた発酵技術を誇る老舗メーカーです。

 マネージャーの高橋克彦さんにみりん作りのお話を伺うと、その製造工程に脈打つ「みりんを口にする人への想い」が印象的でした。


すべてはみりんのおいしさを守るため

 みりんは、麹の力で長い期間熟成させ甘みを引き出します。

 そのため、麹が最も活発に働くための温度管理が重要です。

 「麹は生き物なので、やり直しができません。おいしいみりんができるように十分な注意を払いながら、数か月先、1年先を見越して仕込みをしています」

 さまざまな工程の中で、相生ユニビオのこだわりを強く感じた工程が圧搾です。袋の中にもろみを入れて圧搾し、琥珀色のみりんを抽出する作業は、職人が手作業で行います。

 「当社のみりんは米をふんだんに使っており、もろみがドロドロしているため機械化は難しいんです。手作業で団積みして、昔ながらの方法で1日かけて圧搾します」

 味に敏感なお客様の期待に応えるために、伝統的な手法が守られています。


みりんの可能性を未来に託して

 相生ユニビオは、毎年秋に西尾市文化会館で開催される物産展にも出店しています。

 「物産展では、みりんを使ったスイーツを提案しています。みりんといえば和食のイメージですが、実は洋菓子にも使えるんです。米のデンプン質から出来ている甘みは、砂糖よりも深みがあります。こういう新しいみりんの魅力をこれからも発信していきたいですね」

 今改めて、相生ユニビオは地域に根づいた会社を目指していると高橋さんは言います。

 「例えば、うなぎの蒲焼きのタレを地元企業と共同で手がけてみたいですね。そうして、皆さんに親しまれる企業になれたらと思っています」

 みりんが秘める可能性に夢を膨らませ、相生ユニビオは未来を見据えています。



高橋さんが選ぶおススメの逸品

相生桜本みりん

 粕取り焼酎を使用する三河伝統の旧式製法で作られる本みりんは、まさに本物の味。

 原料は国産にこだわり、3年もの時間をかけてじっくりと熟成させます。

 素材、製法、時間を惜しまない一番贅沢な作り方です。


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取材秘話

 みりんの製造工場に潜入!圧搾したみりんを貯蔵する巨大タンクが工場内に並べられていました。

 タンクひとつの容量は、1Lのペットボトル19,000本分!

 想像をはるかに超える大きさに圧倒されました。