長編小説「人生劇場」で一世を風靡した尾﨑士郎は明治31年、当地に生まれた作家です。当記念館にはご遺族から寄贈された4,000点以上の遺品が展示されています。その他、中川一政筆による『人生劇場』挿絵や映画『人生劇場』のポスターなど、士郎ゆかりの品々を展示しています。また、東京都大田区の士郎の自宅から移築された書斎も公開されています。江戸時代の豪商・豪農の旧糟谷邸も見学できます。

旧糟谷邸（きゅうかすやてい）は江戸時代の豪農・豪商である糟谷縫右衛門（かすやぬいえもん）家の屋敷です。糟谷家は江戸時代を通してこの地方の大地主として、また三河木綿の江戸送り総問屋として栄えました。この地は江戸時代には大多喜藩大河内松平家の所領でしたが、糟谷家は代々その御用達頭取として名字帯刀を許されていました。

現在は約4500平米の敷地内に木造二階建主屋、長屋門、土蔵、屋敷神祠の計5棟、約750平方メートルが立ち並んでいます。主屋のうち最も古いのは東側の店部で、宝暦13年（1763）の祈祷札があります。また、入口の長屋門は正確な建築年代は不明ながらも、主屋よりも古い時代のものです。現在は県の有形文化財に指定され、一般に公開されています。

福泉寺（ふくせんじ）は浄土宗西山深草派の寺院で、小説『人生劇場』で名高い文豪・尾﨑士郎の文学碑と今東光（こんとうこう）筆の墓碑銘、尾﨑家先祖の墓があります。尾﨑士郎は明治31年（1898）吉良町横須賀に生まれ、大正末期から昭和にかけて文壇で活躍した作家です。士郎は吉良公や仁吉の生き方に深く傾倒し、郷土の風土と人情に深い郷愁を示したといわれています。

清水次郎長が建立したといわれる「吉良仁吉」の墓所があります。幕末の侠客「吉良の仁吉」は１８歳から３年間、清水次郎長の下で過ごし、後にわずかな恩に報いるため戦に挑み、２８歳の若さで亡くなります。義理と人情の仁吉といわれるゆえんです。寺内に資料館があります。また、６月の第１日曜日には吉良の仁吉を偲んで「仁吉まつり」が行われます。
※ご朱印があります。

日本の古い書物文化に触れ、楽しみ、学ぶことのできる”古書ミュージアム”。日本の本の長い歴史や豊かな文化について体験しながら学べるユニークな展示をしています。８万冊を超える蔵書は重要文化財を含む貴重なものです。